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Flexaret III

1型から7型まであるフレクサレットシリーズの中で、由一クランク巻き上げを装備した機種が当機3型だ。ただし、クランク巻き上げながらセルフコッキングではない。
メオプタ社はチェコスロバキアのメーカーで、35mm判のオペマ等のカメラも有名だ。マイナーなところでは暗室用の引き伸ばし機やレンズ、大判カメラ用のベラーレンズなども発売していた。

近年グレー外装をまとった6型を中心に人気のあるフレクサレットだが、意外とまとまった情報は多くない。
掲載機3型はプロンターS・SVシャッターが通常の仕様とされるが、当機は1/200までのセルフタイマー付きプロンター2シャッターなので、2型から3型への移行期のものかも知れない。後期には6型と同じ最高速1/400のメタックスシャッターもあったようだ。

テイクレンズは3枚玉ミラーを装備し、4型から4枚構成のベラーレンズとなる。ビューレンズはノンコートで、テイクレンズのみコーティングがある。
カメラ背面に赤窓が残されているが、フイルム装填はスタートマーク合わせで裏蓋を閉じ巻き上げてゆくとカウンターに1が出る。ただし、クランクを操作すればどんどんフイルムを送って行けてしまう仕様のため、自動巻き止めとはややニュアンスが異なるので注意が必要。また、1950年と早い時期の発売ながらカウンターも自動復元式。

クランクは200°ほどの回転でフイルム巻き上げ動作を完了し、スプリングの力で定位置に戻るので使い勝手はナカナカ良いのだが、操作音はやや大きく感じる。シャッター周りの操作性も、レバー類の指掛りが小さく年代並みと言ったところだ。
全体的な仕上げや精度は悪くはなく、ピントフードの意匠は中央が結晶塗装でメオプタのロゴが入る独特の印象。
国産二眼レフを代表する名機・ミノルタオートコードの前身ミノルタコードは、このフレクサレット3型をを手本としたとの話もあり、振り子式ピントレバーやクランク巻上げに裏蓋の開閉方法など相似点は非常に多く、そういった説にもうなづけるものがある。

フレクサレット3 オリジナルデータ表

メーカー 生産国 生産年
Meopta メオプタ チェコスロバキア 1950年
ビューレンズ
Anastigmat 80/3 アナスチグマット
テイクレンズ
Mirar 80/3.5 ミラー
絞り 絞り羽根 最短撮影距離
3.5~22 9枚 3.5ft
フード取り付け
30mm被せ式
シャッター
Prontor II T・B・1・2・5・10・25・50・100・200
シャッターチャージ
独立式
レリーズ
シャッター外周レバー 押し下げ式
巻き上げ 巻き止め
右側面クランク スタートマーク合わせ 自動 赤窓あり
ピント合わせ
前面下レバー
スクリーン 視差補正
通常 補正無し
内面反射対策
円筒
フイルム送り
下→上
実測サイズ 三脚ネジ
H137×W75×D100mm 775g 小ネジ
データ表の見方

部分拡大画像&ポイント解説

  • ピントノブ・絞り指標裏蓋ロックボタン周り
    [左]2型から始まる振り子式のピントレバー シャッターはプロンター [右]上部ボタンを押し込んで裏蓋開放 ボタンをねじ込んでおくことで誤作動を防げる
  • シャッター速度指標周りカメラ底部
    [左]左(カメラから見て上)がチャージレバー、右にレリーズレバー [右]裏蓋は上から開くためカメラ底部は簡素
  • ピントルーペレンズフード革ケース
    [左]ピントルーペは大径で広視野 [中央]結晶塗装の大型純正レンズフード [右]革ケース

管理人の

なるほどオートコードの原型と言われると確かにという感じです。
使い勝手としては、フレネルレンズ無しのスクリーンはやや暗く、未撮影でもどんどんフイルムを巻けてしまう仕様なので少々注意が必要かと。掲載の被せ式レンズフードは無銘ですが、これが純正です。
フレクサレットの他のモデルは国内オークションにもちょくちょく出るのですが、3型はあまり見かけません。ただ、ebayなどでは定期的に出ますので入手困難というほどではないと思います。

独断の5つ(平均が★★★は0.5換算)
  • 人気度…★★
  • 使いやすさ…★★☆
  • 見つけやすさ…★★☆ 2型・4型★★★