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Start II

掲載機は、珍しいポーランド製の二眼レフであるスタート2。ポーランドには他の二眼レフも幾つか存在するが、いずれもこのスタートシリーズをベースにしているようだ。
メーカーのWZFOという名称は、「Warszawskie Zaklady Foto Optyczne」の略称とのこと。

スタートブランドの二眼レフは、1954年頃発売の初代からモデルチェンジを繰り返し、最終型となった66S型は80年代に入ってからも生産されていたカメラだ。
国内ではほとんど見かける機会が無い機種だが、ebayなどには時々出品されている。少ないながらも最も見かけるモデルは、スタートB型(Start-B)であろう。掲載の2型と同じレンズ・シャッタースペックで、シャッターのカバーが無く左側面に巻き上げノブを配した構造となっている。
ノコフレックス(Nocoflex)銘の二眼レフも、このスタートBと基本的には同じもののようだ。

掲載機スタート2型は、シリーズ唯一のクランク巻上げを装備した機種。ただ、セルフコッキングにはなっておらず、シャッター下のレバーで毎回のシャッターチャージが必要。レリーズは側面のレバーを押し下げる方式。ケーブルレリーズ取り付けのネジ穴は、前板の上とちょっと変わったところにある。
底部前方にある裏蓋ロックダイヤルや、引き上げた際トップが後ろ寄りに来るクランクは独特であるが、スタートマーク合わせのフイルム装填やカウンター自動復元、絞り・シャッターを一括表示する小窓など、スクリーンフレネルレンズこそ入っていないが使い勝手は決して悪くないカメラだ。
ルーペはやや収差が目立つが、視野は広く遮光性にも配慮されたもの。ピントフードを始めとした外観の仕上げも良好な部類だろう。ただ、シャッター速度変更やピントフード開閉などに、ギクシャクした硬さがあるのは残念。恐らく部品加工精度の問題と思われるが、東側のカメラという側面を考えれば致し方ないだろうか。
なお、裏蓋のロックはダイヤル回転式だが、ロック位置にクリックストップのようなものも無いため簡単にダイヤルが回ってしまう。動作が軽すぎるものは要注意だ。
なお余談だが、テイクレンズの銘は「Euktar」。日本語読みが判らず、当初は仮に「ユクター」と記していたが「エウクタール」が正確な読みとメールでご教授いただいた。感謝。

スタート2 オリジナルデータ表

メーカー 生産国 生産年
WZFO ポーランド 1960年?
ビューレンズ
Euktar 75/3.5 エウクタール
テイクレンズ
Euktar 75/3.5 エウクタール
絞り 絞り羽根 最短撮影距離
3.5~22 8枚 1m
フード取り付け
32mm被せ式
シャッター
Valor B・10・25・50・100・250
シャッターチャージ
独立式
レリーズ
右側面レバー 押し下げ式
巻き上げ 巻き止め
右側面クランク スタートマーク合わせ 自動
ピント合わせ
左側面ノブ
スクリーン 視差補正
通常 補正無し
内面反射対策
円筒
フイルム送り
下→上
実測サイズ 三脚ネジ
H137×W76×D100mm 875g 大ネジ
データ表の見方

部分拡大画像&ポイント解説

  • シャッター・絞り表示窓カメラ底部
    [左]シャッター・絞り表示窓 [右]底部は三本脚 前寄りにダイヤル式の裏蓋ロック
  • 巻き上げクランクピントフードロゴフイルム室内
    [左]巻き上げクランクはやや後方に倒れるのが定位置 [中央]ピントフード可倒部は結晶塗装仕上げ [右]フイルム室内には繰り出し機構部が一部露出
  • ピントルーペレンズキャップ革ケース
    [左]遮光性にも配慮したピントルーペ [中央]プラスチックの被せ式レンズキャップ [右]革ケース

管理人の

マイナーなポーランド製二眼レフも二機種掲載で、当サイトも少しづつ国際化しているなぁなどと。しかし、知られていないが故に人気ランキングでは常時下位にランクイン。ピント合わせのできない疑似二眼レフを含めれば、イタリアにエリオフレックス(Elioflex)という機種があるのですが、全く掲載予定はありません。
スタート2は、ナカナカ良さ気なカメラで本文中でも褒めましたが、背面のロックを解除すると壊れそうな凄い勢いで立ち上がるピントフードに、奥の方のロック解除で跳ね上がってきたピントルーペに指が挟まれ、引き起こしても手を離すとパタンと倒れるクランクや、フイルム室内に露出する繰り出し機構など突っ込みどころも満載のホント楽しい二眼レフです。

独断の5つ(平均が★★★は0.5換算)
  • 人気度…
  • 使いやすさ…★★★☆
  • 見つけやすさ…★★