Rolleiflex Automat MX
二眼レフの代名詞たるローライフレックスには様々なモデルがあり、掲載機は1951年発売のローライフレックス・オートマットMX。3.5A型やオートマット・タイプ4という異名も持ち、日本国内では独自にローライフレックス5(V)型とも呼ばれていた。
フイルム装填のオートマット機構を装備したモデルは戦前からの発売であるが、当機MX型が「オートマット」銘が入る最後の機種。また、ツァイス・オプトンネームのテッサーレンズもこの代までの採用である。
先代オートマットX型(IV型)からの変更点は、MXの名前が示すようにシンクロ接点がM・Xの切り替え式となり、ローライキンを用いて35mmフイルムで撮影する際の圧板切り替え方式などが簡便化されたのが主(圧板に関しては、先代後期からとする資料も)。
MX型のバリエーションは、テイクレンズにシュナイダー製のクセナー(Xenar)付きのモデルがあり、ビューレンズはハイドスコープ付との資料もあるがハイドスマットのものの方が多いようだ。
細部では、前期型はフイルム室内の内面反射防止バッフルが無く、1954年のローライフレックス2.8Cの発売に合わせてMX型にも採用されたと思われる。ピントフード前面のローライキン用マスク取り付けピンも、2つのものと3つのものとがある。
ローライフレックスの大きな特徴である、フイルム装填のオートマット機構も当然装備されている。
先刻承知のことかとは思うが、フイルム装填時に二本のローラーの間に裏紙を通して上側のスプールにセットした後、裏蓋を閉じて巻き上げていけば自動的に1枚目がセットされて巻き止めが効くというローライフレックス独自の方式である。素の紙(裏紙)の状態から、フイルムと固定テープの厚みが加わる部分を圧着ローラーで感知する精緻な機構であり、ローライフレックスの絶大な評価を決定付けた部分とも言える。
シャッターは1/500秒までのシンクロコンパー。シャッターボタンには機械式のロック機構があり、ビューレンズ脇のスライドレバーはセルフタイマー起動用だ。
スクリーンにフレネルレンズは入っていないものの、F2.8の明るいビューレンズ・ハイドスマットの恩恵もあってピントの山は非常に掴みやすい。また、ピントフード裏のミラーを介してのアイレベルフォーカシングも十分実用になるものだ。セルフコッキングの仕様はもとより、左右ダイヤルでの絞り・シャッター速度変更なども、これこそが「Rolleiflex」なのだという使用感である。
ローライフレックス オートマットMX オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- Franke&Heidecke フランケ&ハイデッケ 西ドイツ 1951年
- ビューレンズ
- Heidosmat 75/2.8 ハイドスマット
- テイクレンズ
- Zeiss-Opton Tessar 75/3.5 ツァイス・オプトン テッサー
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~22 10枚 0.8m
- フード取り付け
- Bay1
- シャッター
- Syncchro-Compur B・1・2・5・10・25・50・100・250・500
- シャッターチャージ
- 巻き上げ連動式(セルフコッキング)
- レリーズ
- 前面下ボタン 押し込み式
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面クランク オートマット装填 自動
- ピント合わせ
- 左側面ノブ
- スクリーン 視差補正
- 通常 補助線縦横各4本 マスク補正
- 内面反射対策
- 円筒
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H139×W75×D93mm 960g 小ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
このオートマットMXから遮光バッフル装備かと思えば違ったようで、掲載機はバッフルなしのモデル。ピントフードには、2.8Cと同じ方式のローライグリッド(スクリーン上に乗せるフレネルレンズ)を固定するためのバネを装備していますので、ちょうど過渡期のものだったのでしょうか。
ローライフレックス・オートマット呼称でもイロイロなモデルがありますが、戦後のレンズにコーティングがされているモデルが実用的でしょう。コーティング以外ではアイレベルファインダーの有無で、おおよそ戦前・戦後を見分けられます。ピントフード前面に可倒枠があるのが戦後型です。
同時代のビオメター(Biometar)付きの希少品2.8Bや、人気機種2.8Fなどに比べたら格安で入手できるので、「とにかくローライフレックスが欲しい!」と言うのならば非常にお勧めの機種です。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
-
- 人気度…★★★★
- 使いやすさ…★★★★☆
- 見つけやすさ…★★★★