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Rolleiflex 2.8C

西ドイツ・フランケ&ハイデッケ社のローライフレックス。世界中で、ローライを意識しなかった二眼レフというものは皆無であろう存在だ。
掲載機2.8C型は、大口径80mmF2.8というシュナイダー製のクセノタールレンズを搭載し、未だに多くの支持を集めるローライフレックス2.8Fの源流となったモデルと言える。開放F2.8のレンズ自体は1949年発売2.8A型のテッサー、1952年の2.8B型のビオメター(Biometar)で既に達成しているものの、2.8Cではボディ側に多くの仕様変更を施しカメラとしての完成度を高めている。
クセノタールと共にローライの双璧である、カールツァイス・プラナー(Planner)も当機から採用されたレンズ。

フイルムの装填は、ローライフレックスの名声を確固たるものとしたオートマット方式。フイルムの裏紙を2本のローラーの間に通しておけば、フイルムの厚みを感知して撮影可能状態で自動的に巻き上げが止まる方式。
前モデルからの変更点としては、ピントノブの大型化やフイルム室内の遮光バッフル装備、二重写し防止機構(多重露出も可)、ウエストレベル・アイレベル共にピントルーペの調整機構を装備するなどしている。
また、裏蓋を閉じた状態では、スプールノブを引き上げられなくなっており事故の防止にも対応。上側のスプールノブは、ローライキン使用に対応した35mm用カウンター付きのものが標準装備となっている。
スクリーンフレネルレンズは入っていないものの、ビューレンズもF2.8の大口径でピントの山も非常に掴みやすい。ピントフードの内側にミラーが用意されており、前枠を内側に倒してアイレベルでのピント合わせが可能なのも、ローライフレックスの特徴の一つ。前述ルーペの視差補正機構は毎回の調整が必要とはいえ、標準仕様で視差が合わない人にとっては有用であろう。この調整機構は2.8Dまで継続。
なお、少々気になる点はシャッター・絞り操作用のダイヤルにロックが付いたこと。ダイヤルに沿った形状の、銀色のロック解除ボタンを押しながらでないとそれぞれの操作が出来ない。撮影中に大きく数値を行き来することは少ないだろうが、スピーディな操作という面からはやや妨げとなるのが残念だ。
次代の2.8Dと2.8Eではシャッター・絞りはライトバリュー連動とされ、2.8Fになってようやく双ダイヤルをフリーに操作可能な形に戻る。ただ、2.8D以降は絞り羽根の枚数が10枚から5枚に減ってしまっている。

テイクレンズは4群5枚構成のシュナイダー・クロイツナッハ製クセノタール。2.8C発売当初はクセノタールのみの設定であり、後にプラナーを追加したためプラナー付きの個体の方が数が少ない。クセノタールかプラナーかの論争は非常に多くなされているが、個人的には好みの問題でありブランドや中古市場での出会いで好きな方を選べば良いと思う。好きの方をと言えるのは、両者優劣付けがたい名レンズということでもある。
なお、現在も新品で販売されている80mmF2.8の系譜・ローライフレックス2.8FXのレンズ銘が、2012年よりプラナーからアポゴン(Apogon)に変更されてしまった。恐らくパテントの関係で名称だけが変更されたのかとは思うが、当機2.8Cから始まり憧れとまでされた二眼レフの名レンズ・プラナーが、その歴史にひっそりと幕を下ろしたのは何ともさびしい限りである。

ローライフレックス2.8C オリジナルデータ表

メーカー 生産国 生産年
Franke&Heidecke フランケ&ハイデッケ 西ドイツ 1953年
ビューレンズ
Heidosmat 80/2.8 ハイドスマット
テイクレンズ
Schneider-Kreuznach Xenotar 80/2.8 シュナイダー クセノタール
絞り 絞り羽根 最短撮影距離
3.5~22 10枚 3.5ft
フード取り付け
Bay3
シャッター
Syncchro-Compur B・1・2・5・10・25・50・100・250・500
シャッターチャージ
巻き上げ連動式(セルフコッキング)
レリーズ
前面下ボタン 押し込み式
巻き上げ 巻き止め
右側面クランク オートマット装填 自動
ピント合わせ
左側面ノブ
スクリーン 視差補正
通常 補助線縦横各4本 マスク補正
内面反射対策
バッフル
フイルム送り
下→上
実測サイズ 三脚ネジ
H140×W75×D105mm 1200g 小ネジ
データ表の見方

部分拡大画像&ポイント解説

  • ピントノブフイルム室内
    [左]左側面の大型ピントノブ スプール受けノブはローライキン使用時のカウンター付き [右]2.8Cから採用のフイルム室内の遮光バッフル フイルム装填時は最初のローラーの下に裏紙を通す
  • シャッター速度ダイヤル周りビューレンズ上部カメラ底部
    [左]ロックボタン付きのシャッター速度ダイヤル 上のレバーはフラッシュ同調切り替え [中央]ビューレンズ上部でシャッター速度・絞り値の確認が可能 [右]裏蓋ロックは二重式
  • シャッターボタンピントフードピントルーペの視差調整状態
    [左]シャッターボタンにはプラスチック製のロックレバー付き [中央]ルーペの視野は広くスクリーン全体を確認可能 [右]ウエストレベル・アイレベルそれぞれのルーペに視差調整機構付き
  • レンズキャップレンズフード革ケース
    [左]Bay3サイズのレンズキャップはサテン仕上げ 他に鏡面仕上げもある [中央]Bay3サイズのレンズフード [右]革ケース

管理人の

正直に言いますとローライフレックスの解説文を書くのは、当サイト制作の中でトップクラスの苦痛です。と言いますのも、誰でも知ってる二眼レフの王様であり、その筋のカメラ研究家の方々が徹底的な調査掘り下げを行って情報を出してらっしゃるので、ただのカメラ好き素人の私が改めて文章を書く必要性を疑う訳です。
しかし、ローライの2.8シリーズというのはカメラ選びの難関です。あえてそれぞれケチを付けると、2.8Aはレンズの評価が微妙、2.8Bはとにかくモノが無い、掲載機2.8Cはシャッターロックなどがプラスチック製で、上側のスプールノブが35mmカウンター付きなのがかっこ悪い。2.8Dと2.8Eは、前面ダイヤルのライトバリュー連動と、ダイヤルに文字が彫られてるのが嫌い。絞り羽根も5枚に減少。2.8Fは露出計の横への出っ張りはバッグに収める時にとても気を使う。カメラは快調なのに、露出計だけ壊れたりすると何となく嫌な気分。
以上、あえて、あえて無理矢理書いてみました(笑)

中古の購入に関しては、とにかく変に安いものを買わないことです。かつて2.8Fを使っていた時も、駒村商会の正規リペアマンにオーバーホールしてもらったらまるで別のカメラのような軽快感となりました。オークション等でオーバーホール済みとうたっているものは、どこでOHしたかやOHの修理表は付くか、修理済みの保証はあるかを質問してみるといいかと。返事の無いような出品者から高額なカメラを買う必要は無いと思います。
私が言うまでも無く素晴らしいカメラですし、初心者の方がこういった高級機を持っても何の問題もありません。大半のモデルは中古流通量も非常に多いので、どうぞ気に入るローライフレックスをじっくり選んでください。

独断の5つ(平均が★★★は0.5換算)
  • 人気度…★★★★☆
  • 使いやすさ…★★★★★
  • 見つけやすさ…★★★★ プラナー付き★★☆