Kalloflex K2
バンテリンなど医薬品のCMで馴染み深いコーワ製の二眼レフ・カロフレックス。コーワ(当時興和光器)は、ロールフイルムではコーワシックスやコマフレックス、35mmワイドカメラのコーワSW・UWなど特徴的なカメラを多く発売していたメーカーだが、二眼レフはマイナーチェンジを含め僅か3機種のみの販売。
現在でも望遠鏡・双眼鏡の分野で、カロフレックスにも搭載されているレンズブランド・プロミナーは健在だ。
掲載機K2は、初代カロフレックス・オートマットのマイナーチェンジ機で、シャッターがセイコーシャ・ラピッドから同MXへ変更し、シャッターボタンにロック用のレバーを追加するなどしたモデル。
二眼レフの中では後発ゆえに、クランク巻き上げ・セルフコッキングという仕様に留まらず、独自機構や高性能なレンズを前面に出した非常に特徴的なカメラとなっている。
搭載レンズのプロミナー75mmF3.5は、発売当初その解像力を広告の一面に押したほどのもので、レンズ周りには汎用性の高いBay1バヨネットを採用。
ファインダースクリーンにはコンデンサーレンズを使用しており、視野は非常に明るくピントの山も非常に掴みやすい。カメラを構えたときに見やすいように、ピントルーペとコンデンサーがやや前傾しているという徹底ぶり。
ピントルーペは大型でスクリーン全体を見渡せ、収差も少なくワンタッチで跳ね上げが可能。また、ルーペの位置決め用にアームが追加されているのは、長く使ってゆく上で不具合の出やすい箇所への対策でもあり、細かな配慮だが特筆すべきことと思う。
ピントノブは巻き上げクランクと同軸上にあり、左手でカメラを支えたまま右手で両方の操作が出来る。無論、クランクを操作してフイルムを巻き上げてもピント位置が動いてしまうことはない。カウンターもカメラの右肩上部にあり、撮影中の確認が容易だ。
シャッターボタンは通常とは逆の左手で押す位置にあり、撮影の流れの中で右手・左手にどういった操作をさせるのが理想かを十分に考えた跡をうかがわせる。
カメラ全体の工作精度や仕上げも非常に良く、細部の意匠にも手抜きが無い。プリモフレックス・オートマット同様に、やや「遅れて来た二眼レフ」ではあるが、国産二眼レフを代表する機種と言っても過言ではない。
カロフレックスK2 オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- 興和光器(コーワ) 日本 1955年
- ビューレンズ
- View Prominar 75/3 ビュー プロミナー
- テイクレンズ
- Prominar 75/3.5 プロミナー
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~22 10枚 3ft
- フード取り付け
- Bay1
- シャッター
- Seikosha-MX B・1・2・5・10・25・50・100・250・500
- シャッターチャージ
- 巻き上げ連動式(セルフコッキング)
- レリーズ
- 前面下ボタン 押し込み式
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面クランク スタートマーク合わせ 自動
- ピント合わせ
- 右側面ノブ
- スクリーン 視差補正
- コンデンサーレンズ 補助線縦横各3本 補正なし
- 内面反射対策
- バッフル 円筒
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H136×W82×D96mm 1125g 小ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
カロフレックスと言えば、クラシックカメラ界の大御所・高島鎮雄氏が著作の中で多く紹介されています。
中古価格はそれなりに安定でしょうか。そんなに生産数が少ない機種とは思わないのですが、手放す人が多くないのか中古市場で見かける頻度は高くありません。下位機種のカロベックスは、更に見かけない珍品の域ですが。
ファインダー周りは特筆すべきことが多くある仕様ですが、唯一コンデンサーレンズ押さえのためかスクリーンの視野の四隅が若干欠けますので気になる方もいるかと思います。非主流の左下シャッターボタンは、複数の二眼レフを使っていると稀に戸惑うことも。
このカロフレックスは個人的にとても好きなカメラでして、ebay初落札機ということもあって「二眼レフ泥沼里程標」の機種でもあります。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★★★☆
- 使いやすさ…★★★★☆
- 見つけやすさ…★★☆