Ikoflex IIa
言わずと知れたドイツの大メーカー、ツァイスイコンの二眼レフブランドがイコフレックス。戦前のイコフレックス1型などは独自の路線を模索しているが、掲載機2a型の頃になると上下レンズ間のシャッター・絞りダイヤルなど、かなりライバル・ローライの操作性に近づいている。
なお、同時代のローライの二眼レフは、ローライフレックス2.8C、ローライコード4型など。
ツァイスイコンのカメラは東西分裂の影響もあって、モデル名が非常に判りづらいのだが、掲載のイコフレックスはIIa後期型。資料によっては、IIa前期型(前面のデザインが全く異なるモデル)をIIAと表記する場合もある。
2a型はツァイス・オプトン解消の1954年の発売であるが、レンズはオプトン銘のテッサー75mmF3.5。
当機の仕様は、フイルムの1枚目のみ底部の赤窓で確認する方式。側面のダイヤルを押し込みながら回転させてカウンターに「1」を出せば撮影開始状態となり、以降は自動巻き止めで巻上げとシャッターチャージも連動する。巻き上げノブは大径でいいのだが、ピントノブの径は大きいものの高さが無いためやや操作しづらい印象。
スクリーンはイコフレックスの特長であったコンデンサーレンズではなく、溝の細かいフレネルレンズ付きの通常のスクリーンとなっている。視野は明るく、センターマット方式ではないもののピントの山は非常に掴みやすい。ただ、近接撮影の視差対策としてスクリーンの視野率がやや低めになっており、実測で50mm×50mm程度しかないので仕上がりを予測したフレーミングが必要になってくるだろう。
何より特徴的なのはシャッターボタンの位置で、ネームプレートの脇にある。二眼レフでこの位置にあるのは、東ドイツのレフレクタ(Reflecta)II型などごく少数。イコフレックスシリーズは、総じてこの部分に何らかの仕掛けを配しているようだ。ピントフードを閉じることにより、機械的にシャッターボタンを押し込めなくしてロックする仕様。シャッターボタンの脇には、チャージ状態を確認できるインジケーターがある。
無論ツァイスイコンのカメラである。全体の造り・仕上げは非常に良いことも付記しておく。
イコフレックス2a オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- Zeiss Ikon ツァイスイコン 西ドイツ 1954年
- ビューレンズ
- Teronar-Anastigmat 75/3.5 テロナー アナスチグマット
- テイクレンズ
- Zeiss-Opton Tessar 75/3.5 ツァイス オプトン テッサー
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~22 10枚 3.6ft
- フード取り付け
- 35.5mmねじ込み式 37mm被せ式
- シャッター
- Synchro Compur B・1・2・5・10・25・100・250・500
- シャッターチャージ
- 巻き上げ連動式(セルフコッキング)
- レリーズ
- 右上部ボタン 押し込み式
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面ノブ 1枚目のみ赤窓 以降自動
- ピント合わせ
- 左側面ノブ
- スクリーン 視差補正
- 通常 フレネル 補正無し
- 内面反射対策
- 無し
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H137×W77×D97mm 1085g 大ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
掲載当時、オプトンながら二眼里程標初の本物テッサー登場でした。私は重度の機械フェチというワケでもないのですが、この作りの良さは流石と思います。ただ何故かレンズキャップはペラペラ素材で見た目とギャップが。フードなどの取り付けは、35.5mmねじ込みのツァイス規格ですのでご注意を。
右側面の円の部分が擦れた機種を多く見かけます。また、クラシックカメラ専科 No.62で詳しく記載されていますが、レンズ番号80万台ではレンズの固定方式が原因となって光軸が狂いやすいとのことですので購入時は要確認。100万番台では方式変更で大丈夫らしいです。絶対的な情報と言い切れるものでもないのですが、保証のあるカメラ店で購入すれば心配は減るかと思います。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★★★☆
- 使いやすさ…★★★☆
- 見つけやすさ…★★★