Flexora
フレキソラ(フレクソラ)は戦後西ドイツのリプカ製。リプカの二眼レフは、概ね前面のティアドロップ型のデザインが特徴となっている。他に当サイト掲載のリプカ製品は、ローロップ・オートマチックがある。
フレキソラは、それまで販売されていたフレキソ(Flexo)の後継機にあたるのだが、吊り金具が一般的な平紐ストラップを使用できる形状になったくらいで仕様には大きな変更点は無い模様。
プレス成形のボディからも判るように基本的に普及機の位置付けであるが、巻き止め機構や1/300シャッターを装備しており使用に不足は感じない。一部資料で620フイルム機との記載があるが、当機は120フイルムが使用可能。120・620兼用機の可能性もあるが未確認だ。
バリエーションは、レンズやシャッターの組み合わせなどで5機種ほどがあるが、掲載機はそのどれにも完全に合致はしないものの、露出した巻止め機構と径の大きくなったピントルーペからIIIa型に分類するのが正解だろう。
フレキソラは小型軽量な二眼レフで、前面下側に操作性の良い振り子式ピントレバーを装備。更に、フイルム装填時の一枚目は背面の赤窓確認だが以降は巻き止めが効くので、スクリーンがやや暗いこと以外の使い勝手は概ね良好である。1枚撮影ごとにテコになっているロックレバーを跳ね上げて巻き上げれば、次の溝にノッチが引っ掛かって自動的に止まる方式。普及機ながら赤窓にはシャッターが付けられ、ピントルーペもピントフード横のつまみで操作が可能となっており細かな配慮も見える。
レンズはエンナミュンヘン製エナー75mmで、シャッターは定番のプロンターを装備。フイルム装填はカメラ内の中枠を取り出して行う為、外観の突起が少なくすっきりしている。
ユニークなのはアイレベルファインダーで、ピントフードをたたみ前面に収納されているワイヤーフレームを引き出して使う。昔のプレスカメラに多く見られた方式だが、二眼レフでは大変珍しい仕様だ。
フレキソラ オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- Lipca リプカ 西ドイツ 1953年頃
- ビューレンズ
- Enna Munchen Ennar S 75/3.5 エンナ・ミュンヘン エナーS
- テイクレンズ
- Enna Munchen Ennar C 75/3.5 エンナ・ミュンヘン エナーC
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~25 10枚 3.5ft
- フード取り付け
- 28.5mm被せ式 27mmねじ込み式
- シャッター
- Prontor-SV B・1・2・5・10・25・50・100・300
- シャッターチャージ
- 独立式
- レリーズ
- 前面右レバー 押し下げ式
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面ノブ 1枚目赤窓 以降自動
- ピント合わせ
- 前面下レバー
- スクリーン 視差補正
- 通常 補助線縦横各1本 補正無し
- 内面反射対策
- 円筒
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H128×W72×D96mm 775g 小ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
小型軽量で操作性も悪くなく、それでいて特徴的なピントレバーにアイレベルファインダー。個人的にはこういった楽しさの出ているカメラは大好き。しかし、知名度の無さから人気ランキングでは常に下の方…。
国内で二眼レフに限らずリプカ製品はあまり見かけませんが、ebayでは結構見かけます。唯一裏蓋のロックが心もとないので、しっかりしたものを選ぶと良いかと。珍しくピントルーペの画像掲載を忘れましたが、掲載機のものならギリギリスクリーン周辺まで視野に入るレベルです。
「フレキソラ」という名前とテイクレンズ下の振り子式ピントレバーなどで、初めはフレクサレットの仲間かと思っていました。リプカというメーカーも、当時このカメラによって初めて知りました。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★☆
- 使いやすさ…★★☆
- 見つけやすさ…★★☆