Ricohflex VII
リコーフレックスは、1950年代に国内の二眼レフブームを牽引した理研光学工業(リコー)の二眼レフ。リコーフレックスシリーズは低価格路線で大人気となり、品不足からプレミアが付いた話は有名だ。
また、「二眼レフ」というカメラを、一般に広く認知させることに大きく貢献したブランドとも言える。
理研光学の二眼レフ市場への参入は戦前だが、掲載機のような上下レンズがギア噛み合わせ式で前玉回転となったのは戦後のモデルから。カメラの型番は何故か3・4・6・7型で5型は無く、4型には「IV」ではなく「IIII」と間違って記載されたものもある。
掲載機7型の後も小変更を加えた多くのモデルを発売し、1957年にシリーズ生産台数100万台突破の記念として発売された、マルチフォーマットのリコーフレックス・ミリオン(Million)が上下ギア連動式の最終機。
恐らく、世界中で最も多く販売された二眼レフのシリーズではないだろうか。
安価に販売された大衆機であり、機構的には完全な赤窓式フイルム送り。シャッターもスロー速度域が無く最高速は1/100秒。B(バルブ)の他速度も3速のみの割り切りようだ。シャッターチャージとレリーズは兼用のレバーで、上側にスライドしてチャージ、下側でレリーズとなる。ハイスペックで便利なことも是ではあるが、当機のようにメカニズムが簡単で壊れる要素が少ないというのも大ヒットの理由の一つであろう。
ただ、このシリーズは吊り金具の形状が一般的ではないので、ぶら下げて使用するには専用革ケースか適するストラップが必要であることが惜しい。
当機7型は、6型にアイレベル撮影用のコンツールファインダーが追加されたもの。7型だけでもシャッターやロゴの書体違いでバリエーションが多くあり、WEB上では「リコーフレックス一直線」で詳細な比較がなされている。
フイルム装填は中枠を取り出して行う方式だが、下側にフイルムを装填しフイルム面はレンズ方法を向くという基本中の基本を間違わなければ難しいものではない。
上下レンズがギアで連動する仕様は、リコーフレックスの大ヒットと生産の簡便さから各メーカーが次々と追従することになるのだが、実はこの方式を国内で採用したのはマミヤフレックス・ジュニアの方が先である。
かつて世界を席巻した二眼レフの代表格のカメラではあるが、廉価機種ゆえスクリーンの見やすさやスペックなど、現在使うにはやや玄人好みと言えるかも知れない。
リコーフレックス7 オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- 理研光学工業(リコー) 日本 1954年
- ビューレンズ
- Ricoh Viewer 80/3.5 リコー ビューワー
- テイクレンズ
- Ricoh Anastigmat 80/3.5 リコー アナスチグマット
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~16 9枚 3.5ft
- フード取り付け
- 36mm被せ式
- シャッター
- Riken B・25・50・100
- シャッターチャージ
- 独立式
- レリーズ
- 前面シャッター外周レバー チャージ兼用
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面ノブ 赤窓式
- ピント合わせ
- レンズ回転式
- スクリーン 視差補正
- 通常 補助線縦横各2本 補正無し
- 内面反射対策
- 上下凹凸板
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H125×W72×D99mm 755g 小ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
ファインダーの暗さは低価格並みですが、至る所で見かけ革ケース付きも多くあります。価格も安価な場合が多く、二眼レフとはどんなものかを知る初めの一台にも良い機種です。ただ、本文中にも書きましたが、使いやすいという機種でもないので、今となっては若干玄人向けかも。
7S型・7M型などは、若干シャッター速度に余裕があるので多少使い勝手は向上します。シャッター最高速1/500秒までのセイコーシャ・ラピッド付きのものもありますが数は少なめで、稀にオークションで見かけると結構な価格になっていたりもします。
また、この形式のリコーフレックスは簡単に分解できるカメラですので、「思わずばらしちゃって…」的なものも中にはあるようですのでご注意を。掲載機の入手時も、無限遠が全く出ていないものでした。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★★★★
- 使いやすさ…★★
- 見つけやすさ…★★★★★ セイコーシャッター付★★ ミリオン・ホリデー等★★★☆