Yashica-D
ヤシカDは、八洲光学工業が「ヤシカ」に社名変更した直後の1958年発売。非常に息の長いモデルとなり、同等の機構を持つヤシカ635と共に10年ほども生産が継続されたようだ。ヤシカは、35mm一眼レフ全盛の1980年代になってもヤシカマット124Gという二眼レフを販売していた。
掲載機ヤシカDは、ヤシカB後期型(ニューB・新B型・銘板はYashicaflex)と機能的には全く同じもので、外装にカラーバリエーションを用意したモデル。ニューBも当機も非常に多く販売されたカメラで、国内外の中古市場でよく見かけるモデルだ。
機構的にはローライコードコピーであり、スタートマーク合わせのフイルム装填に自動巻き止めの仕様。巻上げとシャッターチャージの連動はしていないものの、チャージレバーは指掛かりの良い大型なのに加え、シャッターセット後に元の位置に戻るため操作性は良好だ。
ニューBから引き継いだフレネルレンズ入りのスクリーンとルーペも使いやすく、シャッター速度と絞り値はビューレンズ上の小窓で確認可能。テイクレンズは基本ヤシコール銘の3枚構成のもので、レンズ周りには汎用性の高いBay1バヨネット。
内面反射防止用のバッフルも装備しており、実用面で不満を感じることは無いだろう。強いて言えば、フレネルの溝がややうるさい感じがするくらいのものだ。
ヤシカDは当初、「トラベルカラー」と名付けられたカラーモデルがメインであり、「茶×ベージュ(掲載機)」「青×白」「黒×白」の三色がラインナップしていた。順に「バーガンディ」「チャコールグレー」「ゴールデンブラウン」というメーカー側の呼称。
当初は新B型との併売だったため、通常のブラックモデルが無かったのだが後に発売されている。また、レンズフードやキャップにも、カラーモデルに合わせたバージョンが用意されていた。
販売期間の長いモデルであり、後期のモデルには4枚構成ヤシノン(Yashinon)レンズ付きもある。ただ、後期型はコストダウンのためかフイルム室内の遮光バッフルが無くなっていたり、前面の絞り・シャッターダイヤルが黒いプラスチック製に変更されていたりもする。また、時期は不明ながら途中からカラーモデルは無くなりブラックモデルのみの販売となったようだ。
なお、ローライに訴えられたことで有名なベスト判のヤシカ44は、7色ものカラーバリエーション。
ヤシカD オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- ヤシカ(八洲光学) 日本 1958年
- ビューレンズ
- Yashikor 80/3.5 ヤシコール
- テイクレンズ
- Yashikor 80/3.5 ヤシコール
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~22 10枚 1m
- フード取り付け
- Bay1
- シャッター
- Copal-MXV B・1・2・5・10・25・50・100・250・500
- シャッターチャージ
- 独立式
- レリーズ
- 前面下ボタン 押し込み式
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面ノブ スタートマーク合わせ 自動
- ピント合わせ
- 右側面ノブ
- スクリーン 視差補正
- 通常 フレネル センターマット 補助線縦横各2本 補正なし
- 内面反射対策
- バッフル 円筒 (バッフル無しのモデルもあり)
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H138×W76×D101mm 1010g 小ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
ヤシカDのブラックモデルは、輸出向けが多かったようで海外ではゴロゴロ見つかり、国内でもチラホラ見ます。機能は全く同じなので、ニューBも含めて考えれば状態の良いものを入手できると思います。ただカラーモデルは貼り革(ビニール?)が劣化しやすいのか、パリパリになっているものが多いのでご注意を。カラーモデルで最も見かける機会が多いのは、青ベースのものでしょうか。アクセサリーの色違いや、ベスト判のヤシカ44のカラーモデルに手を伸ばすとかなり「沼」のようですのでご注意を。
また、ヤシカの二眼レフ概要は、「情報倉庫」の「ヤシカフレックスの見分け方」に掲載しています。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★★★★
- 使いやすさ…★★★★
- 見つけやすさ…黒★★★ カラーモデルも同等(茶のみ★★) 新B型★★★☆ C型★★★★☆