Ansco Automatic
アメリカのアンスコ製二眼レフ。アンスコはフイルムなどの感材メーカーとしても有名。ネームプレートの表記は「Ansco AutomaticReflex / 3.5」。
他に、アンスコフレックス2という鶯色で車庫のような白いシャッター付の擬似二眼レフもあるが、620フイルム仕様なので注意。アメリカ製の二眼レフには、120専用・620専用もあれば双方兼用できるタイプのものも多い。
当機アンスコ・オートマチックレフレックスは、クランク巻き上げや3ヶ所のダイヤルでのピント合わせ機構、光学式アイレベルファインダーなどの特徴を持った高級機に位置する機種だ。
ただし、クランク巻き上げながらセルフコッキングにはなっておらず、カメラ前面向かって右の逆ハの字レバーを押し下げてシャッターチャージ、逆側のレバーでレリーズする。フイルム装填は背面の赤窓に1を出し、カウンターを1に合わせる方式。
レンズはウォーレンサック製の83mmという通常よりやや長めの焦点距離。同じアメリカ製のシロフレックスやグラフレックスも85mmなので、アメリカではこの辺りの画角が好まれるのだろうか。国産二眼レフではコニフレックスが85mm、当機を参考にしたとされるフジカフレックスが同じ83mmという長めのレンズを採用している。
テイクレンズ外周のリングを回すと、小径のギアを介してビューレンズ外周のリングが回り、ビューレンズ上部のシャッター速度指標が変更される。絞りもテイクレンズ下での操作ながら、ビューレンズ上部の小窓で確認可能という凝った作り。
ピント合わせは、前面左右のダイヤルと側面のノブいずれかの操作で前板を繰り出す。ルーペは倍率が高くピント合わせはしやすいものの視野はかなり狭く、スクリーンの見やすさも年代並みだ。
デザインの派手さは、数ある二眼レフの中でもトップクラスだろう。前面両サイドをはじめ多用される丸みを帯びたエッジ部、横から見た際の裏蓋上部とピントフードの繋がりなど、デザインには非常に力が入っている。ただし、複雑な繰り出し機構などの影響か、かなり大柄で重いカメラである。
アンスコ オートマチック オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- Ansco アンスコ アメリカ 1947年
- ビューレンズ
- 無銘 焦点距離・明るさ未記載
- テイクレンズ
- Ansco Anastigmat 83/3.5 アンスコ アナスチグマット
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~32 6枚 3.8ft
- フード取り付け
- 33mm被せ式
- シャッター
- 無銘 B・1・2・5・10・25・50・100・200・400
- シャッターチャージ
- 独立式
- レリーズ
- 前面右レバー 押し下げ式
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面クランク 1枚目赤窓 以降自動
- ピント合わせ
- 左側面ノブ 前面左右ダイヤル 何れでも可
- スクリーン 視差補正
- 通常 52×52mm 補正無し
- 内面反射対策
- 無し
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H149×W81×D109mm 1300g 小ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
デザイン優先ゆえ?使い勝手はさほど良好とは言えないと思いますが、機構の連動や仕掛けは相当なもの。国産名機フジカフレックスが参考にしたのもうなずけます。クランク巻き上げのギア部分が弱い印象がありますので、購入時は要確認。やや大きくて重いのも難点ですが、「見た目こそ大切!」でも良いかと。
それなりに数はあるカメラで、最近は国内のオークションやでもチラホラ見かけるようになりました。名著「二眼レフのはなし・後編」の表紙にもなっているカメラです。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★★☆
- 使いやすさ…★★★
- 見つけやすさ…★★★