Mamiyaflex II
ドイツ製カメラのコピーが蔓延していた日本のカメラ業界で、1939年の創業以来、圧倒的な技術とアイディアでオリジナリティ溢れるカメラを次々と発売したマミヤ。
二眼レフのカテゴリにおいても、1949年発売のマミヤフレックス・オートマットAで早々に、セルフコッキングどころかフイルム装填のフルオートマットまでも達成し、レンズ交換式のシステム二眼レフ・マミヤCシリーズは国産二眼レフの砦を最後まで守り続けた。
掲載機マミヤフレックス2型は、1952年に発売された径の大きなシャッターが特徴的な外観となっている。
当機は、上下レンズがギア連動式のため一見すると廉価な普及機に見えるが、その実は4枚構成のセコールレンズを採用しセルフコッキングに対応した中級機でも上のクラスと言える装備のカメラだ。
マミヤフレックス・ジュニアの後継機である1型に、ピントフード前枠を倒して使用するアイレベルファインダーやセルフタイマーの追加といった仕様変更が施されている。
フイルム装填こそ最初の1枚目を背面赤窓で確認する方式だが、2枚目以降は自動巻き止めと巻き上げに連動したセルフコッキングとなる。フイルム装填は、必ず巻き上げノブを回してカウンターが1から動かない状態で行うこと。
メリットと名付けられたシャッターは、最高速1/300秒でB(バルブ)を境に1/200・1/300だけが独立している仕様。ジュニアのスタミナシャッターも同じ仕様なので、その血統を受け継いだものと思われる。世田谷光機(マミヤ世田谷工場)製セコールレンズも4枚構成。
上下レンズギア連動式ながら、使いやすいピントレバーや自然と指の届く前板脇の押し下げ式シャッターレバーなども秀逸。そのシャッターレバーのロック機構も、ロック時・解除時どちらも収まりが良い構造となっており、細部にも奇抜だけではないマミヤのこだわりが見えるようだ。
強いて挙げれば、スクリーンにフレネルレンズが入っておらず、フイルム室内の内面反射対策も無いのは発売の時期的に仕方のない部分であろうか。またセルフコッキング達成のためか、カメラの重さもほぼ1kgというところまで増加してしまっているのも気になる部分だ。
ギア連動の外観によって誤解されているのか中古市場での評価はあまり高くないようだが、「能ある鷹は」のことわざではないがその実力は実用十二分な爪を持つ二眼レフである。
マミヤフレックス2 オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- マミヤ光機(マミヤOP) 日本 1952年
- ビューレンズ
- Sekor Viewer 75/3.5 セコール
- テイクレンズ
- Setagaya Koki Sekor 75/3.5 セコール
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~22 9枚 3.5ft
- フード取り付け
- 36mm被せ式
- シャッター
- Merit B・1・2・5・10・25・50・100・200・300
- シャッターチャージ
- 巻き上げ連動式(セルフコッキング)
- レリーズ
- 前面右レバー 押し下げ式
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面ノブ 1枚目のみ赤窓 以降自動
- ピント合わせ
- テイクレンズ外周レバー
- スクリーン 視差補正
- 通常
- 内面反射対策
- 無し
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H135×W81×D97mm 995g 小ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
意外とこのマミヤフレックス中古市場で見かけません。ピントフードの透視枠の無い1型の方が、掲載機2型よりかなり少ない印象。外観もカワイイと思うのですが、もう一つ評価されていないのが残念です。
上下レンズギア連動式なのにセルフコッキング。背面赤窓式なのにセルフコッキング。恐らく二眼レフでは他に例が無いと思いますが、「こうあらねばならない」にとらわれないアイディアメーカーらしいカメラです。レンズ周りの仕様のおかげで、数の多い普及機向けアクセサリーを流用できるのもメリット。
購入に際しては、革の劣化がしやすい時代のものですので外観にちょっと気を配って、命綱のノブ巻き上げ・セルフコッキング・カウンターを重点的に確認すると良いと思います。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★★☆
- 使いやすさ…★★★☆
- 見つけやすさ…★★☆ 1型★☆