Zenobiaflex I
ゼノビアフレックスは、「国産二眼レフのイニシャルはAからZまで云々」といった話題では絶対に欠かせない機種。何故なら、最後の「Z」で始まるモデルがこのゼノビアフレックスしかないからだ。有名な話ではあるが、A~ZのうちJ・U・Xから始まる国産二眼レフは存在しない。
当機は第一光学初の二眼レフであり、ボディ・シャッター・レンズいずれも自社製というのは珍しい仕様だ。当時、主にシャッターに関しては、コパルやセイコーなどから調達するのが一般的であった。
ゼノビアフレックス1型は、フイルム装填・巻き上げは普及機に多い背面赤窓確認式でありながら、1/500秒までのシャッターと4枚構成のネオ・ヘスパーレンズを装備している中級機とも言える仕様。当時の販売価格も、入門機とは一線を隔した設定だった。
ローライコード同様のシャッターチャージとレリーズを兼用するワンレバー方式を採用。フレネルレンズは装備していないが、ピントの山は掴みやすい部類のスクリーンだ。
バリエーションモデルには、ピントフードに第一光学のイニシャル「D・O・C」をモチーフとしたロゴ入りのものもある。なお掲載機は、巻き上げノブの中心にある止めネジが失われていたが、実用に支障無いので革で埋めてある。
ゼノビアフレックス1型発売翌年に2型が登場し、しばらくは1型・2型が併売されていた模様。2型はセミオートマット仕様となり、レンズ周りにBay1バヨネットを採用しフイルム室内に内面反射防止バッフルを装備。
2型の途中から、ネオ・ヘスパーの名称はそのままに、レンズの焦点距離が75mmから77.5mmに変わっている。表記のみなのか構成自体の変更かは定かではない。
1型と2型の中間のような、赤窓式ながらレンズ周りにバヨネットを採用した機種も確認されており、77.5mmレンズでスクリーンにはフレネルレンズ入り。第一光学からゼノビア光学への変遷期には細部のパーツが異なるものがいくつか存在するようだ。
その後、レンズコーティングの変更なども経て、最終機オートマットはローライフレックスタイプのクランク巻上げ・セルフコッキング機となる。ただし、このオートマットは市場で全くと言って良いほど見かけない。
ゼノビアフレックス1 オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- 第一光学(ゼノビア光学) 日本 1954年
- ビューレンズ
- View Hesper 75/3.5 ビューヘスパー
- テイクレンズ
- Neo-Hesper 75/3.5 ネオ・ヘスパー
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~22 10枚 1m
- フード取り付け
- 28.5mm・32mm被せ式
- シャッター
- Daiichi-Rapid B・1・2・5・10・25・50・100・250・500
- シャッターチャージ
- 独立式
- レリーズ
- 前面下レバー スライド式 チャージ兼用
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面ノブ 赤窓式
- ピント合わせ
- 右側面ノブ
- スクリーン 視差補正
- 通常 補助線縦横各1本 補正無し
- 内面反射対策
- 円筒
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H138×W77×D95mm 880g 小ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
ノブのネジが無くとも巻き上げ方向に回すには支障ありませんが、同様の欠損をしたものをよく見かける気がします。赤窓式ながら四枚構成のテイクレンズとは、地味と言うのか玄人好みと言うか…といった感じのカメラです。珍しい仕様ゆえ「類似機種リンク」の設定がままなりません…。
ちなみに国産以外では、「U」から始まる二眼レフにアメリカ製の「Uniflex」があります。「J」は「JapanFlex」や「JupiterFlex」とかあっても良さそうですのに。「X」は…誰か今からでも作ってみませんか?
もうひとつちなみに、「ゼノビア」とは旧約聖書に出てくるパルミラの女王の名前だそうです。ゼノビアフレックスに限らず、カメラ名にはメーカーそれぞれの思い入れが詰まっていることも多く、語源を調べてみると意外と勉強になったりします。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★★
- 使いやすさ…★★☆
- 見つけやすさ…★★★