Brillant Focusing
ドイツの名門フォクトレンダーの製品。通常のブリラント(ブリリアント)は目測でしかピント合わせが出来ないが、当機はスクリーン上でのピント合わせが可能。同じブリラントだが、区別するために当機はフォーカシング・ブリラントと呼ばれる。
フォクトレンダーの二眼レフは他にスパーブがあるが、独創的なアイディアや機構で有名な同社だけに、戦後に二眼レフが発売されなかったのは大変残念だ。
フォーカシングブリラントのレンズは、3枚玉フォクター(Voigtar)・4枚玉スコパー(Skopar)・5枚玉ヘリアー(Heliar)のバリエーションがある。
国産二眼レフでもリコーフレックスを筆頭に多く採用された、上下レンズをギアで連動させピント同調をとる方式だが、この方式を採用したのは当機フォーカシング・ブリラントが最初とのこと。
ファインダーは、コンデンサーレンズとF2.2のビューレンズで非常に明るい。ただ、ファインダー中央部のみでのピント合わせとなっており、小径ルーペの見辛さもあってピントの山は非常に掴みづらい。ファインダー自体も、目を近づけ過ぎると盛大に周辺がケラレてしまう。
本体がベークライトでとても軽量なカメラに仕上がっている反面、高級感は皆無であり、フイルム室内もベークライトの内面反射が大きいようで、フォクトレンダーを代表するスコパー・ヘリアーなどのレンズが生かしきれていない気がする。また本体が軽量ゆえに、コンデンサーレンズと大口径ビューレンズによってトップヘビーな印象だ。
アイレベルファインダーは光学式を採用。フイルム装填こそ1枚目を赤窓確認する方式だが、巻き上げは自動巻き止めに対応しており二重露光防止機構も付く。カメラ左側面にはフィルターと光学露出計の収納スペースがあり、中に光学露出計仕様時の露出読み取り表が記載されている。ただ、残念ながら当機にそれらは付属していなかった。ビューレンズ周辺には、光学露出計取り付け用と思われる簡易バヨネットもある。
フォーカシングブリラント オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- Voigtlander フォクトレンダー ドイツ 1939年
- ビューレンズ
- Rapid-S-O 焦点距離不明/2.2
- テイクレンズ
- Voigtlander Skopar 75/3.5 フォクトレンダー スコパー
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~16 10枚 1m
- フード取り付け
- 29mm 被せ式
- シャッター
- Compur T・B・1・2・5・10・25・50・100・300
- シャッターチャージ
- 独立式 T・Bはチャージ不要
- レリーズ
- シャッター外周レバー 押し上げ式
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面ノブ 1枚目のみ赤窓 以降自動
- ピント合わせ
- レンズ回転式
- スクリーン 視差補正
- コンデンサーレンズ 中央マット部のみピント合わせ可
- 内面反射対策
- 無し
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H131×W75×D94mm 690g 大ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
フォーカシングブリラントのピントルーペはオレンジ色の仕様が一般的なようで、シャッターにもコンパーラピッド最高速1/500のバリエーションがあるとの情報をいただきました。
個体差や好みはあるにしても、ピント合わせはちょっと難ありと言わざるを得ません。ちなみに私の視力は両目とも1.5~2.0なのですが、指標の数値が小さくてちょっと見づらい。目の悪い方は実機を確認してから購入した方が良いかと思います。
それから、フイルム室内に「BESSAPAN FILM」のシールが。昔はカメラメーカーも感材を販売していたところが多いようです。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★★☆
- 使いやすさ…★★
- 見つけやすさ…★★☆ ヘリアー付きも同等