Rolleiflex Standard
三眼ステレオカメラから発したローライフレックスの歴史は、1929年に発売された117フイルムを使うローライフレックス・オリジナルから始まる。
続いて展開された127フイルム(ベスト判)を使うベビーローライ(Baby Rollei)を、ほぼそのままブローニーフイルムの仕様にしたものが当機ローライフレックス・スタンダードだ。カメラ史上の名機である、ライカDIIやコンタックス1型(ブラックコンタックス)と同年の1932年発売。
ローライフレックス・スタンダードには大まかに3つのバリエーションがあり、テイクレンズのカールツァイスイエナ・テッサーの明るさがF4.5・3.8・3.5と異なる。シャッターも中期頃までは1/300秒迄だが、後に最高速1/500秒のコンパーラピッドを装備。
細かな変更は多くあったようで、ピントノブや赤窓開閉の仕様、裏蓋のエッジ処理(黒と銀)等の他、部分的な塗装仕上げも年代・ロットによって様々なものがある。
右クランク巻き上げ左ピントノブの仕様は、ローライフレックス各モデルへの継承はもちろん、多くのメーカーが模倣・追従した二眼レフと言えばこれとも言えるスタイル。シャッター速度と絞り値を、ビューレンズ上部の小窓に表示する方式もここから始まる。
セルフコッキングにはなっていないものの、フイルムの1枚目を赤窓で確認しカウンターをリセットすれば、以降自動巻き止め機構が働く。ただ、クランクは常に巻き上げ可能な状態なので、誤ってフイルムを送らないように注意が必要だ。セルフコッキングと、二本のローラーの間にフイルムを通すローライ独自のオートマット機構は、37年発売のローライフレックス・オートマット(掲載機は戦後モデル)から採用された。レンズ間の左右の絞り・シャッターダイヤルも同モデルからの仕様。
透視ファインダーは瞳を前方のミラーに映すことで、覗き位置の視差を矯正する方式。
当機は操作感はもちろん、造り・仕上げも非常に良好。戦前のカメラは趣味の世界とも言えるが、ノンコートながらテッサーレンズの評価は高く機構的にも十分に実用となるレベルだ。ローライフレックス・スタンダードは、「二眼レフ」というカテゴリを形作り大きな影響を与えた、二眼レフの里程標とも言える機種である。
ローライフレックス スタンダード オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- Franke&Heidecke フランケ&ハイデッケ ドイツ 1932年
- ビューレンズ
- Heidoscop-Anastigmat 75/3.1 ハイドスコープ
- テイクレンズ
- Carl Zeiss Jena Tessar 75/3.5 カールツァイスイエナ テッサー
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~22 10枚 1.7m(実測1m)
- フード取り付け
- 28.5mm被せ式
- シャッター
- Compur T・B・1・2・5・10・25・50・100・300・500
- シャッターチャージ
- 独立式
- レリーズ
- 前面下レバー スライド式 チャージ兼用
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面クランク 1枚目のみ赤窓 以降自動
- ピント合わせ
- 左側面ノブ
- スクリーン 視差補正
- 通常 補助線縦横各4本 水準器 補正無し
- 内面反射対策
- 円筒
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H135×W75×D90mm 810g 大ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
二眼レフの王様ローライフレックスに敬意を表して(3.5と3.8の比較のためもありますが)、部分拡大画像が増量サービスになっております。
戦前の二眼レフを選ぶには、レンズ含めた保存状態が第一でしょう。革ケースのスナップが当たるため、ネームプレート中央の塗装が剥がれたものを非常に多く見かけます。繰り出しの4本スピンドルと前板を止めているネジは剥き出しなので、実写後ピントの「面」が狂っていないか要確認。
スクリーン内の水準器は視野がケラレるので好みが分かれそうです。所有の3.8モデルには無いので、後期型のみにあるようです。また、旧型の赤窓ははめ込みのキャップなので、紛失には十分ご注意を。
個人的にこのローライスタンダードとアールデコは、他の追従を許さないデザインだと思います。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
-
- 人気度…★★★
- 使いやすさ…★★☆
- 見つけやすさ…★★★ F3.5付き★★★☆ F4.5付き★☆