Start 66 S
二眼レフとしてはかなり新しい1970年生産開始とされるスタート66S。生産国はポーランドで、スタート2を製造したメーカーのWZFOが1964年から65年にかけてPZOに吸収されてからのモデル。
スタートシリーズの二眼レフは、1954年の初号機から掲載機66Sまで5機種が発売され、66Sは1980年頃まで生産が継続されていたようだ。
東側のカメラということもあって情報が少なく国内で見かける機会も少ないが、当機は堅実な仕様となっている。
基本的な仕様は、スタートマーク合わせ式のフイルム装填にノブ巻き上げ・巻き止め機構装備といったもの。ただしピントノブは左側にあり、シャッターボタンは右側面から押し込む構造で、非常に浅いストロークで切れてしまうのは好みが分かれそうだ。
カウンターも自動復元に対応しており、シャッターも最高速1/250秒で普及型ながら実用には十分なスペックを有する。ビュー・テイクレンズは共に、三枚構成のエミター75mmF3.5。なお、掲載機は右側面の巻き止め解除の用レバーが失われネジで代用されている。
スクリーンにフレネルレンズは入っていないが、ピントの合わせやすさは一般的なレベルかと思う。ルーペは若干周辺に収差があるが、視野はスクリーン全体をカバーする。
外装は、凹凸のある粉体塗装とシボの目の大きな革張りが主であり、ピントフードも大半の部分が塗装仕上げのため印象的な外観だ。
後年発売の二眼レフゆえか、しっかりした裏蓋の二重構造ロック機構や、裏蓋を閉じた状態ではスプールノブが引き上げられない構造など、細かな部分にも配慮がなされている。
「ジャッ」とやや耳障りなシャッター音や、プラスチックが多用された各部の操作性などに高級感は感じられないが、クローム部品も最小限で妙な自己主張が無いことが逆に気にかかる不思議なカメラだ。
スタート66S オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- PZO ポーランド 1970年
- ビューレンズ
- Emitar 75/3.5 エミター
- テイクレンズ
- Emitar 75/3.5 エミター
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~22 8枚 1m
- フード取り付け
- 37mm被せ式
- シャッター
- 無銘 B・15・30・60・125・250
- シャッターチャージ
- 独立式
- レリーズ
- 右側面ボタン 押し込み式
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面ノブ スタートマーク合わせ 自動
- ピント合わせ
- 左側面ノブ
- スクリーン 視差補正
- 通常 補助線縦横各2本 中央十字線 補正無し
- 内面反射対策
- 円筒
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H137×W75×D102mm 920g 小ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
スタート66の基本構造はしっかりしていますし、70年代の製造ですのでレンズの描写もそこそこ良さげ。個人的には、スタート2の何だか意味不明に暴れた感じが失われてしまっているのが残念。ただ、前板やピントフードの大半が塗装という部分は、実際に見てみると地味ながら好印象。
国内の中古市場で見かけることは多くありませんが、レアものと言うほどではないと思います。二眼レフとしては遅い部類のカメラながら、スクリーンにフレネルレンズが入っていないのは惜しい。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★
- 使いやすさ…★★★
- 見つけやすさ…★★