Olympusflex A2.8
6枚構成のF・ズイコーレンズを搭載し、高級二眼レフとして君臨したオリンパスフレックスの普及ラインナップに位置するのが、当機オリンパスフレックスA2.8。
普及版とはいえ筐体は上位機種と同じものを使用していたとのことで、4枚構成ながら75mmF2.8の大口径レンズを装備。スクリーンにフレネルレンズが入ったA2.8II型もあるようだが、情報としてはやや不確か。また、テイクレンズにズイコー75mmF3.5を採用したA3.5型も併売された。
テイクレンズが75mmF2.8というスペックは非常に珍しく、オリンパス以外の二眼レフでは皆無と思われる。一般的に、開放F2.8を達成するにはやや長焦点の80mmが採用される場合が多いからだ。
F3.5のズイコーレンズは他社への供給などもあってよく見かけるが、4枚構成の75mmF2.8付き二眼レフは当機のみ。ただ、スプリングカメラのオリンパス・クロームシックスでは、早くから採用されていたスペックではある。
当機の基本的な仕様は、スタートマーク合わせのフイルム装填に右に巻き上げ・ピントノブを配するローライコードスタイルであるが、1型などと同じくシャッターボタンはビューレンズ脇の高い位置にあるのが特徴的。位置的に手ブレしやすいとの意見もあるが、操作部位の位置と言うのは好みの部分も大きいだろう。
通常シャッターボタンがあるカメラ前面下側には、セルフタイマー用のスイッチが配されている。押し込みながらシャッターチャージすることで動作させることが可能。右側面の同様のボタンは巻き止めロック解除用。1枚撮影ごとに下に押し下げて巻き上げを行う。
カウンターは自動復元式となっており、ルーペもスクリーン全体を見渡せる視野を確保し遮光性に配慮がなされている。カメラ全体として見ても、非常にソツのない仕上がりとなっている印象を受ける。
また、シャッター速度・絞り値は正面から見ると逆さまなのだが、撮影状態でカメラ上方から見た場合に正位置となるように、あえて逆に刻印されているとのこと。細やかな配慮であるが価格競争が激化していた時期でもあり、少しでも他社との差別化をという思いも垣間見える面白い部分だ。カメラ全体の作りとしては非常に良質な印象。
オリンパスフレックスA2.8 オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- オリンパス光学工業 日本 1955年
- ビューレンズ
- Olympus Zuiko F.C. 75/2.8 オリンパス ズイコー
- テイクレンズ
- Olympus Zuiko F.C. 75/2.8 オリンパス ズイコー
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 2.8~22 10枚 2.7ft
- フード取り付け
- Bay2近似
- シャッター
- Seikosha-Rapid B・1・2・5・10・25・50・100・200・400
- シャッターチャージ
- 独立式
- レリーズ
- 前面右上ボタン 押し込み式
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面ノブ スタートマーク合わせ 自動
- ピント合わせ
- 右側面ノブ
- スクリーン 視差補正
- 通常 補助線縦横各2本 補正なし
- 内面反射対策
- 円筒
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H138×W76×D101mm 1080g 小ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
ズイコーレンズ搭載機に書くコメントは、毎度「クモリに注意」です。全て曇るわけではないのは当然としても、曇りの出やすい時期のものがあるような。レンズ周りのバヨネットはワルツ製のBay2フードがきっちり適合。ただ、ローライ純正のBay2は3.5F用ではない前期のものが付くようですがケラレるという話もあるようです。
当機は入手時に不動品。散々自分で開けようか迷った挙句、やっちゃってから(悪い意味で)では遅い!と、ひさなが光機さんにお願いしました。当然その方が正解なワケでして完動美品となって帰還。撮影時、時々シャッターと間違ってセルフタイマーボタンを押してしまうのはご愛敬。
フレネルレンズの無いスクリーンですが、ビューレンズF2.8のおかげでピント合わせはしやすい部類かと。遮光用のバッフルが無いのは惜しいですが、二眼レフ中級機の中では特徴的な一台となっています。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
-
- 人気度…★★★
- 使いやすさ…★★★☆
- 見つけやすさ…★★☆ A3.5型★★★