Beautyflex 2.8
ビューティフレックス2.8は、東京の神田神保町に拠点を置いた中堅カメラメーカー太陽堂光機製。超小型カメラから大判カメラまで製造した同社だが、二眼レフのカテゴリに於いては普及機寄りのラインナップが主であった。
その中で、国産二眼レフとしては唯一80mmF2.8の大口径レンズを採用した当機ビューティフレックス2.8は異色の存在である。
カメラの仕様は、スタートマーク合わせのフイルム装填に自動巻き止めの方式。カウンターは裏蓋開放での自動リセットに対応し、フイルム室内の内面反射対策に遮光バッフルを装備するなど、細部を見ても太陽堂光機のそれまでの二眼レフ群とは一線を画した装備。
撮影手順は、1枚シャッターを切るごとに巻き上げノブ内のボタンを押し、巻止めを解除してから巻き上げるという方式。多重露出機構は装備していない。
最大の特徴であるアンバーコーティングの80mmF2.8カンターレンズは4枚構成のものであり、シャッターに「埋まっている」とでも表現したくなるような威圧感のあるスタイル。スクリーンにはビューティブライトと名付けられたフレネルレンズが装備され、ビューレンズの明るさも手伝ってピントの山は非常に掴みやすい。ルーペもスクリーン全体をカバーする視野。
ただシャッターの最高速度が1/200秒であり、低感度フイルムでも使用しない限り屋外で開放F2.8の恩恵を受ける機会がそう多くないのは惜しまれる。
ビューティフレックス2.8には、上下レンズにバヨネット(Bay3?)を装備したマイナーチェンジモデルが存在する。改良型の一部には、掲載機と同じコパルシャッターながら最高速1/300となったモデルもあり、大口径レンズの使い勝手も多少向上している。
言及している資料が無いため真偽を含めた詳細は不明なのだが、当機はビューレンズにも撮影レンズと同じ4枚構成のモノが使われていた可能性があるようだ。レンズ交換式のマミヤCシリーズも上下レンズが同じものとして有名だが、焦点を揃えることは簡単になるもののコスト的には負担となる仕様。その大口径レンズだけでも大変意欲的なカメラであり、スペックから見れば安価であっただろう22000円という販売価格だったのだが、現在の中古市場でその姿を見かける機会はそう多くない。
なお当サイトでは、カメラの名称を「ビューティフレックス2.8」として掲載したが、当時の広告等では「2.8」ではなく「28」として展開されている。レンズの明るさが由来であり、2.8型と表記するケースが一般的なためそれに倣うこととした。
ビューティフレックス2.8 オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- 太陽堂光機 日本 1955年
- ビューレンズ
- F.C Viewer Canter 80/2.8 カンター
- テイクレンズ
- F.C Canter 80/2.8 カンター
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 2.8~22 10枚 3.5ft
- フード取り付け
- 42mm被せ式
- シャッター
- Copal B・1・2・5・10・25・50・100・200
- シャッターチャージ
- 独立式
- レリーズ
- 前面下ボタン 押し込み式
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面ノブ スタートマーク合わせ 自動
- ピント合わせ
- 右側面ノブ
- スクリーン 視差補正
- 通常 フレネル センターマット 補助線縦横各2本 補正無し
- 内面反射対策
- バッフル
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H138×W75×D110mm 1135g 小ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
太陽堂光機の意欲作ではありますが、見かける機会はかなり少なめで、たまに出てきても状態の良くない物が多い印象です。後期のバヨネットモデルの方が、数は少ないような気がします。確認した個体数が多くないのですが、レンズに曇りが出やすいのではないか?という印象も。
それから、大口径レンズゆえ仕方のないことでしょうがカメラ自体は結構重いです。突き出たレンズのせいで、前側への転倒しやすさもピカイチなので要注意。アクセサリーは純正を探すのは至難の業ですので、汎用性のあるものを流用しましょう。42mmの被せ式は、マミヤの旧型標準向けフードが数も多くて見つけやすいかと。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★★★
- 使いやすさ…★★★☆
- 見つけやすさ…★☆