Semflex Standard
フランス製の二眼レフ、セムフレックス。フランスの二眼レフはセムフレックスをはじめ、戦前には珍品の6x9判二眼レフ・オントフレックス(Ontoflex)、戦後にもデザインが独特なビオフレックス(Bioflex)やレンズ交換可能なレックスレフレックスなど特徴的なモデルが多い。
セムフレックスシリーズは多くの機種を展開し、特殊なものとしては150mmの望遠レンズ付やフラッシュガンが一体化したモデル、非常にシンプルな単速シャッターとゾーンフォーカスの機種などもある。通常のバリエーションを含め、その数は50種類にも渡るとのことだ。
レンズにはサム・ベルチオ付きと、フランスを代表するレンズのアンジェニュー(Angenieux)付きがあるが、後者の方が見かける頻度はかなり低い。ベルチオにも、明るさ違い(F4.5のもの)やフロール銘のあり(4枚構成)・なし(3枚構成)など幾つかのバリエーションがある。
掲載のセムフレックスは、赤窓式の普及機「スタンダード3.5B」。バリエーションが多い割りに情報は少ないが、入手時に付属していた当時のシリアル入り保証書に形式の記載があったので間違い無いであろう。
当機は、シンメトリーにこだわったデザインが特徴的なモデル。テイクレンズの左右斜め下は、旧型機ではレリーズ用の切り欠きだったが、本機では完全にデザインだけのものとなっている。
レリーズソケットは前面中央向かって左の二重円の部分だが、こちらも逆側の円はデザインのみだ。
セムフレックス・スタンダードの基本仕様は、完全な赤窓式。この形式の場合、一般的な二眼レフなら巻上げノブは右側にあるのだが当機は左側。シャッターチャージも通常とは逆で、レバーを下から上に押し上げてチャージする方式となっている。無銘ではあるが、シャッターは自社製とのこと。
また、スクリーンは通常のタイプで上位機種のようなコンデンサーレンズではないが、ビューレンズはF2.8の明るさを確保しておりピント合わせに支障は無い。ただ、ピントルーペの位置決め用の部品がアルミ製で構造的にも弱く、その部分が破損しルーペが浮き上がってしまっているものも多く見られるので注意が必要だ。
セムフレックス スタンダード オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- Sem セム フランス 1955年
- ビューレンズ
- Som Berthiot 75/2.8 サムベルチオ
- テイクレンズ
- Som Berthiot Flor 75/3.5 サムベルチオ フロール
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 3.5~22 10枚 1m
- フード取り付け
- 30mm被せ式
- シャッター
- 無銘 B・1・2・5・10・25・50・100・200・400
- シャッターチャージ
- 独立式
- レリーズ
- 前面下レバー スライド式
- 巻き上げ 巻き止め
- 右側面ノブ 赤窓式
- ピント合わせ
- 左側面ノブ
- スクリーン 視差補正
- 通常 補助線縦横各1本 補正無し
- 内面反射対策
- 円筒
- フイルム送り
- 下→上
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H135×W76×D97mm 810g 大ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
セムフレックスは外観だけ見ても、ピントフードが全て銀のものにレンズ周りやネームプレートの意匠、グレーの革貼などバリエーションを挙げればきりが無い。「デザインで選んで下さい」というのがセムの本望?
その中でも、掲載機のデザインは比較的見かける方だと思います。レンズ周りのギザギザが無い以外ほぼ同じ外観のモデルも、セムフレックスの中では出現頻度が高めです。ただしこちらは、概ね開放F4.5のフロール銘無しのベルチオレンズ付きのようです。
ちなみにアクセサリー類の質感も良好で、システムカメラとして多くの用品が販売されていたようです。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★★
- 使いやすさ…★★
- 見つけやすさ…★★☆ アンジェニュー付き★☆