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Ciro-flex D

シロフレックスは、アメリカ・シロ社の二眼レフ。シロ社がグラフレックス社の傘下に入った後、小変更を経てグラフレックス22として販売され、息の長いモデルとなった(シロ社吸収前よりOEMで提供していたとの説も)。
レンズはウォーレンサック製で、アメリカのカメラは同社のレンズ付きのものが多い。また、コダックを筆頭に620フイルム(細軸ブローニー)専用のカメラも多いので注意が必要だ。

当機の位置付けは普及機ではないのだが、フイルム送りは赤窓式。掲載機のシャッターはチャージ不要のエバーセット方式で、最高速1/200までのアルファックスシャッター・アナスチグマットレンズのD型。
シロフレックスにはA~F型が存在し、各モデルの詳細までは不明なのだが主にレンズとシャッターの違いのようだ。ヴェロスチグマット(Velostigmat)レンズに1/400までのラパックスシャッター付などのバリエーションがあり、最終機F型は大判レンズとしても有名なラプター(Raptar)レンズ付きとなっている。

当機は、ピントノブの回転方向が通常機種とは逆の仕様で、手前側に回転させると繰り出すのでやや戸惑う。
テイクレンズの焦点距離はやや長めの85mmを採用していて、ピントフードを開ける為のテコや、回転式つまみの付いた赤窓シャッターなどは珍しい仕様。側面にフラッシュガン取り付け用のネジとシンクロ接点が付いていることなどは、かつて二眼レフが報道・プレスの最前線にいたことを彷彿とさせるものだ。
全体的な作りは概ね良好なのだが、ネームプレートは一枚板でやや素っ気なく、裏蓋を開けてみるとピント繰り出しの勾玉カムが剥き出しで、フイルムガイドレールも一体式のプレス成形だったりもする。
低価格向けのエバーセットシャッターではあるが、低速は1/10までと実用には十分で、B(バルブ)とT(タイム)も装備。やや溝が目についてしまうが、スクリーンフレネルレンズ入りだ。
レンズキャップ・革ケース・レンズフードなどは、それぞれ大味な仕上げで何ともアメリカ的と思わせる。

シロフレックスD オリジナルデータ表

メーカー 生産国 生産年
Ciro シロ アメリカ 1940年代中盤?
ビューレンズ
無銘 ウォーレンサック製
テイクレンズ
Wollensak Anastigmat 85/3.5
ウォーレンサック アナスチグマット
絞り 絞り羽根 最短撮影距離
3.5~22 10枚 3ft
フード取り付け
32mm被せ式
シャッター
Alphax T・B・10・25・50・100・200
シャッターチャージ
不要
レリーズ
前面下レバー 押し下げ式
巻き上げ 巻き止め
右側面ノブ 赤窓式
ピント合わせ
右側面ノブ
スクリーン 視差補正
通常 フレネル 補正無し
内面反射対策
無し
フイルム送り
下→上
実測サイズ 三脚ネジ
H145×W78×D107mm 970g 小ネジ
データ表の見方

部分拡大画像&ポイント解説

  • アルファックスシャッター(掲載機)ラパックスシャッター(参考)ピントルーペ
    [左]T・Bが最高速側にあるエバーセット式シャッターも実用十分 [中央]参考画像:1秒~1/400までのラパックスシャッター・ヴェロスチグマットレンズ [右]ルーペの視野はやや狭め
  • ピントフード開放用テコフイルム室内
    [左]ピントフード開放用のテコ 背面のスライドボタンで裏蓋開放 [右]フイルム室内には繰り出し機構部分が一部露出する
  • レンズキャップレンズフード革ケース
    [左]アルミ製の被せ式レンズキャプ [中央]削り出しのようなレンズフード [右]革ケースは厚手

管理人の

スクリーンはフレネル付ですがセンターマットではない仕様。1940年代を考えれば先進の仕様かと思います。
中古市場での数はそれなりに豊富ですし価格に大きな差は無いでしょうから、ラパックスシャッター付のほうが使い勝手が良いでしょうか。アメリカ政府使用機?のプレート付なんてのも見たことがあります。やや大柄なカメラであることと、非常に錆が出やすい体質のようですのでその点にはご注意を。
不思議なことにシロフレックスは、アクセスランキングで唯一4回連続のワースト5入り。認知度が低いだけで決して悪いカメラではないのですが、一応独断の★には反映しました…。

独断の5つ(平均が★★★は0.5換算)
  • 人気度…
  • 使いやすさ…★★☆
  • 見つけやすさ…★★★☆ Rapaxシャッター付き★★☆ F型★★