Ikoflex I
ドイツの名門カメラメーカー・ツァイスイコン初の二眼レフとなったイコフレックス1型は、戦前の1934年発売。
ツァイス・イコンのカメラの型番は、二眼レフに限らず戦前・戦後に同じものがあり紛らわしい。イコフフレックスも戦後に再度1型が発売されているが、掲載機は戦前のオリジナルモデルとも言うべき1型。非常に特徴的なデザインだが、次代の2型にはほとんど継承されなかった。
イコフレックス1型は、ピントフード前面がピラミッドのような段付きのものと掲載機の革張りのものとで前期後期に分けられ、テイクレンズは3枚構成のノヴァーF4.5もしくはF6.3。シャッターにもクリオやデルバルなど数種のバリエーションがあり、掲載機は最高速1/100秒、チャージ不要のエバーセット式だ。
ツァイス・イコンは高級機のイメージが強いが、当機は普及路線を狙ったものでスペックも少々物足りない。先行していたローライコード1型と比べても、掲載機のレンズ・シャッターの組み合わせで価格は4割程度安価だった。
フイルム装填は、底部一体型の中枠を取り出して行う。背面上部にあるボタンを押すと、底の部分のみが抜ける仕様だ。フイルムの向きは異なるが、ハッセルブラッドのマガジンのような方式と言えば解り良いだろうか。
フイルムは左右に送られる方式で、スパーブ同様フイルム室確保のためにカメラの側面が膨らんでいる。その膨らみの左右上部にカウンターがあり、構えた状態での右側のカウンターが120用で、左が620フイルム用となる。
ピント合わせは側面に突き出たレバーを上下して行う方式であり、連動して六角形の前板が繰り出しカメラのひたい部分の距離指標がクルクルと回る。
カメラの前面下にある巻上げレバーや、上部で回転する距離指標にコンデンサーレンズの入ったピントグラスなど、デザイン的な面も含め各所に独創的な機構が盛り込まれている。
なお、特徴的な六角形フロントパネルのデザインは、日本の二眼レフ黎明期に初代プリンスフレックス(Princeflex)などに強い影響を与えた。
イコフレックス1 オリジナルデータ表
- メーカー 生産国 生産年
- Zeiss Ikon ツァイスイコン ドイツ 1934年
- ビューレンズ
- Sucher Anastigumat 焦点距離・明るさ不明 スフェール
- テイクレンズ
- Novar Anastigmat 80/4.5 ノヴァー アナスチグマット
- 絞り 絞り羽根 最短撮影距離
- 4.5~22 9枚 3.6ft
- フード取り付け
- 24mm被せ式
- シャッター
- 無銘(デルバル?) T・B・25・50・100
- シャッターチャージ
- 不要
- レリーズ
- シャッター外周レバー 押し下げ式
- 巻き上げ 巻き止め
- 前面下レバー 1枚目赤窓 以降カウンター合わせ
- ピント合わせ
- 前面左レバー
- スクリーン 視差補正
- コンデンサーレンズ 補正無し
- 内面反射対策
- 円筒
- フイルム送り
- 左→右
- 実測サイズ 三脚ネジ
- H138×W94×D96mm 1055g 小ネジ
- データ表の見方
部分拡大画像&ポイント解説
管理人の戯言
海外でイコフレックス1型は、そのスタイルから「コーヒー缶」や「コーヒーポット」などの愛称で呼ばれるようです。日本的には飯ごうでも良いような良くないような…(笑)
残念ながらシャッターのスペックが物足りなく、1/175までのものもあるようですがそれでも実用面ではギリギリかと。ファインダーのコンデンサーレンズも古い時代のものですので、購入時に劣化や割れは要確認。掲載機は巻上げが少々滑るのですが、巻き上げはカウンター確認式なので特に問題は無いようです。
それから、カメラのオデコでクルクル回る距離指標は見ていて何か楽しげ。細かな仕掛けはやっぱりツァイスイコンだなぁと思わせられる面も。
- 独断の5つ★(平均が★★★・☆は0.5換算)
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- 人気度…★★
- 使いやすさ…★★
- 見つけやすさ…★★☆