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Firstflex III

ピントフードの光学ファインダーが目を引くファーストフレックスは、常盤精機の製造で販売は皆川商店。
常盤精機は、日本初のレンズシャッター一眼レフを開発したことでも知られ、二眼レフの台頭に押され消えていったスプリングカメラも、ファーストシックス銘でコニカ・マミヤと並んで最後まで造り続けていた。
二眼レフに関しても参入は戦前という古参であり、ローライコードのフルコピーとも言えるモデルは有名だ。

同じファーストフレックス銘でも、上下レンズギア連動式のタイプの他、前板繰り出し式のモデルもある。掲載機は、光学式透視ファインダーを装備しシャッターの最高速度が1/400まででセルフタイマーなし、ボディ前面下部にシャッターボタンがあるのというチェックポイントから3型後期モデルに分類できる。
2型がアレベルの光学ファインダーあり・シャッター1/200までで、1型がアイレベルファインダー無しというのがおおよその概要だ。ボディ下部にシャッターボタンが無く、右側面上部に押し下げ式のシャッターレバーがあるのが各モデルの前期型になる。
そこにセルフタイマー装備の~A型や、前面の飾り板とアイレベルの光学ファインダーを廃した「ポピュラーファーストフレックス」のラインが加わるので、正確な分類はかなり困難なブランドである。輸出向けにはネームプレートを変更したビオフレックス(Bioflex)などがある。

特徴的なアイレベルファインダーが目を引くが、イコフレックス3型のようにブライトフレームが浮き上がるわけではなく、光学系が入っているからと言って素通しのアイレベルファインダーに比して実用面でのメリットというのは特に感じられない。シルバーのフロントパネル共々、競合機種との見た目の差別化という面で採用した部分が大きいように思える。
作り自体悪くはないにしろ、基本仕様は一般的な上下レンズギア連動の赤窓式二眼レフであり、コレでなくてはという魅力には欠けると言わざるを得ない。

ファーストフレックス3 オリジナルデータ表

メーカー 生産国 生産年
常盤精機 日本 1952年
ビューレンズ
Special First Anastigmat 80/3.5
スペシャルファースト アナスチグマット
テイクレンズ
Special First Anastigmat 80/3.5
スペシャルファースト アナスチグマット
絞り 絞り羽根 最短撮影距離
3.5~22 10枚 3ft
フード取り付け
36mm被せ式
シャッター
MSK-II B・1・2・5・10・25・50・100・400
シャッターチャージ
独立式
レリーズ
前面下ボタン 押し込み式
巻き上げ 巻き止め
右側面ノブ 赤窓式
ピント合わせ
レンズ回転式
スクリーン 視差補正
通常 補正無し
内面反射対策
無し
フイルム送り
下→上
実測サイズ 三脚ネジ
H132×W75×D98mm 815g 小ネジ
データ表の見方

部分拡大画像&ポイント解説

  • 絞り・シャッター速度指標周りアイレベルファインダー
    [左]バリエーションもあるが1/400シャッターは実用には十分 [右]アイレベルの光学ファインダー
  • シャッターボタン・カメラ下部ピントルーペ
    [左]裏蓋ロックは引っ掛けるだけのタイプ [右]ピントルーペの視野は広く遮光性にも配慮されている
  • レンズキャップ革ケース
    [左]パテントナンバーの入った被せ式レンズキャップ [右]革ケース

管理人の

ファーストフレックスは中古市場でも見かける頻度のそこそこ高い機種ですが、総じて外革が弱い+縮んでいるのと、吊り金具の形状が一般的なストラップを取り付けられないものなので要注意。常盤精機にはクランク巻上げ・セルフコッキング仕様の高機能・低価格機オートフレックスもありますが、元々輸出向けが多く、価格競争の波に呑まれたのか見かけることは少ない機種です。
しかし機種の分類もハナハダ厄介なのですが、常盤精機自体がファースト・カメラウォークスに名称変更した気配もありまして、もう何が正しいものだかよく判りません…。

独断の5つ(平均が★★★は0.5換算)
  • 人気度…★★
  • 使いやすさ…★★
  • 見つけやすさ…★★★ 1型・2型★★★☆